ハゲは単なる老化現象か

50歳のころ、私は鏡を見るたびに憂鬱な気分におちいっていました。セットした髪の問から地肌がちらほらと見えるようになってきたのが原因です。

「男だもの。いずれハゲるかもしれない」、覚悟のようなものはあったものの、薄毛を実感し始めたときの気持ちといったらないでしょう。心までまで老け込んでいくようでした。

あれから20年問が過ぎました。

私は、ツルツル頭にならずにすみました。同世代の集まりに参加したときなどは、「お前はどうしてそんなに髪がたくさんあるんだ?」とうらやましがられるほどにまでなりました。50歳の自分と見比べてみても、76歳の今のほうがフサフサしていると自慢できます。

なぜ、私の毛髪は、よみがえったのでしょうか。

50歳でハゲに気づいてからの10年間は、「ハゲに効く」といわれるならば、どんな方法でも試してみました。頭皮マッサージはもちろんのこと、鵞毛剤も育毛剤も使いました。

友人にすすめられれば、少々高価な薬剤にも手を出しました。髪の毛に月数万円はかけていたでしょうか。しかし、いずれの方法も、髪の毛が私の頭皮から離れていくのを止めてはくれませんでした。

薄毛は老化現象の一つといわれます。しかし、みなさんが薄毛に悩まされ始めたとき、生活の中に何か原因と思われる悪い習慣が潜んではいなかったでしょうか。

私にはあります。ハゲの進行に思い当たる節があったのです。

このころの私の体調は、まさしくカタカタでした。仕事や自らのこと、たびたびの海外出張などで、寝る問も惜しいほどでした。そんな自分でもどうしようもないほどの過度のストレスを、食べることで発散するようになりました。

昼食は、こってりラーメン、半ライス、餃子を食べるのが定番の一つでした。白米やパンも大好きでした。中国に出張した際には、大盛りのチャーはンを1人で2杯も平らげていました。疲れたときにはアイスクリームやチョコレートなど甘いものを口にしては、ひとときの幸福感にふけっていました。

まさに不養生、そんな生活は、まもなく体に病気をつくり出しました。重度の糖尿病になってしまったのです。

「糖尿病の人にハゲが多い」

「糖尿病が治れば、ハゲも治る」

こんな話は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

糖尿病とハゲの関係を一種の都市伝説ととらえる医師は少なくありません。しかし、両者の関係性は強いと私は考えます。糖尿病は体内の栄養状態を悪くする病いだからです。もっと端的にいえば、炭水化物です。

そしてこのとり過ぎが影響していると考えられます。炭水化物のとり過ぎは、糖尿病も引き起こしますが、脱毛もうながします。実際に私も炭水化物を控えるようになったら、それだけで髪に元気が戻ってきました。

炭水化物は、ご飯やパン、麺類などの主食となる食品の主栄養素です。「炭水化物=糖質+食物繊維」とも言うことができます。毛髪に悪影響を及ぼすのは、炭水化物から食物繊維を除いた糖質です。玄米から食物繊維を落とした白米、白い小麦、白い砂糖などは、過剰に摂取すると愛すべき髪の毛を失う原因となるのです。